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地下鉄(メトロ)に乗って

2006年製作
主な出演者

役名役柄俳優
長谷部真次小沼佐吉の次男堤真一
軽部みち子真次の浮気相手岡本綾
小沼佐吉真次の父親大沢たかお
お時佐吉の愛人 みち子の母常盤貴子
長谷部民枝佐吉の妻中島ひろ子(若い頃)
吉行和子
小沼昭一真次の兄北条隆博
小沼圭三真次の弟綱島郷太郎
野平啓吾真次の高校時代の恩師田中泯

地下鉄(メトロ)に乗って あらすじ

少年時代の小沼三兄弟。丸の内線 新中野駅。

営業帰りの真次は、地下鉄 永田町駅で父親が倒れたことを、
弟(恵三)からの携帯の留守電で知りますが、父親とは過去の確執で疎遠になっていて、
真次は会いに行こうとはしませんでした。

電車待ちのホームで中学の時の恩師、野平先生に偶然?出会い、少し話をします。
その日は、若くして亡くなった兄(昭一)の命日でした。

永田町駅にしばらく電車が来ないということで、地下道を銀座線方面に向かっていると、
高校生の兄の姿を見つけ、後を追いかけて行き地上に出ると、
そこは、昭和39年東京オリンピックの年の新中野駅でした。タイムスリップです。

これ以来、真次はタイムスリップを繰り返し、過去の父親と出会い、父親の本当の姿を垣間見て、
自分の父親に対する感情は誤解だったということが分かります。
そして、愛人みち子とのタイムスリップでは衝撃的な事実を知ることになります。

感想と考察

最初のタイムスリップの際、赤電話からかけた電話がなぜかつながったことは不思議に思いましたし、
高校生がスマートボールをできる時代だったのかということや・・・・
設定が気になりだしたらキリがありませんが、タイム○○○○モノは実に楽しいです。

佐吉が出征する時にタイムスリップした電車は銀座線でした。
あの時々車内が暗くなるという場面がありましたが、
私も1970年代に東京にいた時に経験しています。銀座線の電気のとり方からそのようになるということですが、現在はそのようなことはなくなりました。

また、真っ赤な丸の内線の電車も今となっては懐かしい一コマです。

シーンは前後していますが、出征する父親に会い、父親は熱く、優しく、家族を大切にする人だということが、この時によくわかったと思います。

兄 昭一は帝大生と民枝の間にできた息子でしたが、
佐吉はあえて、実の父親と同じ帝大に進学させようとしたり、実直ないい男です。
家族のために一生懸命だった男です。

真次自身にも大切な家族がありながら、なぜみち子と浮気をするようになったのか、
息子がグローブを欲しいと言っているのに!
みち子には誕生日プレゼントは何がいい?って聞いておいて、
息子を優先してグローブを買ってやれよ!って思ってしまいました。

真次が父親として行っていることは、真次が嫌いになった、
真次が嫌だと感じていた佐吉そのものだということです。

現実の真次一家の姿は多くは描かれていませんが、姑との同居も含め、うまくいっているようには描かれていないと感じました。

佐吉がお時を求めた理由は、良い事とは言えませんが、何となく理解できます。
しかし、真次がみち子を求めた理由は、私には最後まで理解できませんでした。

佐吉は野心家で、危ない橋を何度も渡り、大きな会社を築いたことは、男として尊敬できます。

一番心に残るシーンで衝撃的だったのは、何といっても、
みち子が自分を身ごもった母親を石段から落として自分自身を消してしまうシーンです。
助けに行った真次の腕の中から、消えていったみち子。
この部分だけは未来を変えてしまいました。

そして、現代に戻って、会社に居た女子社員は、みち子ではありませんでした。
(まだ真次自身の記憶が完全に消されてなかった????)
息子とのキャッチボール、駅のホームでポケットから指輪を取り出すが、わかっていない!
圭三、民枝との墓参りのシーンで、圭三が、
佐吉がこの商売を始めたきっかけ(真次がタイムスリップであった男だった)を話すが、作り話だろうと受け流すシーン。

真次は母親違いの兄でしたが、愛した人の幸せを願ったんだというシーン。
恋愛としては悲しい結末のようですが、
この方法しかなかった未来の変え方は正しい選択だったと私は思いました。
大切な人の幸せを願う時、人は命さえも捧げられる。
考えさせられるシーンがいくつもあります。

私も父との間にはたくさんの誤解があったように感じています。
もう亡くなっていて真実はわかりませんが、
私も、このようにタイムスリップして、若いころの父に会って話をしてみたくなりました。

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